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お客様は何に惹かれる?


会社員だった頃、取引先の販売店スタッフやオーナーに「集客」アップや、「固定客確保」「顧客流出を防ぐ」ための講義をする機会が多々あったわけですが、今となると少し違和感があります。

間違いだったとは思いません。内容は、基本的で一般的で、努力や練習をすれば手にできるものでした。多くの販売店はその基礎が構築されていなかったのも事実で、そのために失っているものも多かったのですから。

ですが、「お店」というのは「人」が運営しています。「居心地が良い」「気分がいい」「ほっとする」「受け入れてもらっている」と言った感情の部分が占める割合を無視できません。講義で伝えた基本がきちんとできていなくても、しっかり経営できた販売店もまた、沢山あるのでした。

「素敵な外装とインテリア」「背伸びしても行きたい」というお店もあるでしょうし、「身分相応な居場所」と感じられて安心するとか、「多少ガサツな場所」がお高くとまってなくていいということもあるでしょう。お店の移転で縁が切れてしまうお客様は「場所」が良かったのでしょうし、それでも継続されたお客様は「スタッフや経営者」の人柄や、技術やおもてなしに魅力を感じていらしたのかもしれません。

所詮は「恋愛」と同じで「相性」としか言いようがないのか?とも思います。一般的にはマイナスに見える要素が、実は魅力的に見えることもあるわけで。

相思相愛である必要はなく、お客様の側の「片思い」でも「固定客」になっていただけます。

経営者や運営側は、お店の「魅力」が何か?を理解して「磨き」をかける方が、ちょっと乱暴ですが、手っ取り早く成果をもたらす戦略になるかもしれないのです。

そんな魅力に惹きつけられて、固定客になった私のお話をひとつ。

私が現在通っているのは、美容院スタッフが独立されたヘアサロンです。独立したのち、鎌倉に移転が決まり、自宅から電車で最寄り駅まで45分余計にかかることになったというのに、私は彼女の腕と人柄に惚れていたので、当時1ヶ月半に一度の割合で鎌倉まで小旅行気分で通っていました。

その後、彼女はまた、地元に戻ってきて再オープン。彼女の技術力と人柄が、今度は鎌倉のお客様を引き連れてきました(笑)。彼女がスタッフだった当時の美容院のオーナーさんは「経営者感覚」のある方で、円満退社だったとお聞きしています。

美容院では、長年勤めたスタッフが独立する際の「顧客流出」が大問題で、こじれることが多いのは周知の事実です。独立する側も、お店に内緒でお客様に独立をお伝えしたりしているとか。美容院の経営者は「お客を取られた」とヒステリックになるようですが、元スタッフに誘われたところで、全ての顧客が流れるわけではありません。現に、私は前にも他の美容院の担当スタッフさんが独立する際に誘われたのですが、その時は「移籍」しませんでした。

スタッフの独立がきっかけで美容院を変わるお客様は、「スタッフのお客様」に育ってしまった方なのです。激しい顧客の取り合いは「醜態」を晒すことになってイメージダウンです。

美容院に限らずエステティックサロンなどでもある話です。技術職の独立は大きな夢ですから、目標にする方は多いと思います。

猫の顧客(猫は家=場所(店)につく)と犬の顧客(犬は人=スタッフにつく)と、私は表現することが多いのですが、スタッフが独立する際にビクともしないよう、そして格好良く独立を祝ってあげれるように、お店は「猫の顧客」を増やす努力は怠れないですよね?

※写真は、季節のしつらいが素敵な「GreenBox あざみ野」のウインドウディスプレイ。テーマは七五三?

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