コンプライアンスって何?
コンプライアンス。カタカナで言われると、難しく聞こえるかもしれません。
簡単に言えば「お天道さんに顔向けできないことはするな!」だし、「良心に従ってください」「ルールや約束を守ってくださいね」ということですが、なんだか「難しい」とか、「納得できない」とか、「もし間違ってしまったら取り返しがつかなくなるのか?」と、ザワザワしてしまう方が多い。
こういうもの(法律なども含め)は、多くの人が嫌な思いをしないためのものですよね。被害や不利益を被らないためのもの。幸せに暮らして行くためのセーフティガードです。
だから「知らなかった」は考慮されません。
今までも多方面から言われているのに、言葉が新しくなると身構えてしまう。
例えば、自動車免許は「交通法規を守る」人に対して発行されるもの。最初から事故を起こす可能性が高い人や、交通違反をすると分かっている人に、免許は発行されません。
免許をとるということは、「あなたは交通法規を守りますよね?」という問いに対して「はい!守ります」と誓ったということです。だから交通法規の勉強をして、試験を受ける訳で。「車の運転許可証」という意味だけではありません。
自転車事故でも分かるように、免許の有り・無しは関係なく、誰でも違反をすれば、発覚した時にそれ相応の処罰を受ける。故意でなくても結果的に事故を起こせば、責任を負います。
クレジットカードは「請求金額を期日までにお金を払ってくれるはずの人」に発行される。
支払わなければ、「信用」を失い、その後の人生に大きな影響があります。
買い物だって、騙されたり脅される様なことがあったら嫌ですよね?
押し売りをされたくない。魅力的だと思うものに、お金を払いたい。
当たり前のことです。何も疑問は感じないでしょう?
でも、立場が変わると、相手の気持ちに思いが至らなくなる。
商売の現場では、利益優先になりがちです。
お客様を大切に思えるかどうかを問われるのですが、やはりカモ・・・に見えるのでしょうね。
コンプライアンス部門に席を置いていた頃の仕事は、主に啓蒙活動でした。念押しですね。
「弊社との販売契約は、法令遵守が基本にありますよ!だから、理解して、納得の上サインしてくださいね。守れなかった場合は、契約打切りなどもありますよ!」と。
取引先と在籍していた会社、双方を守るために必要なことだったのですが。
理解してもらう為に、対応マニュアルは「現場経験を踏まえた内容」で作成しました。
身近すぎる事例だったため、営業担当が取引先に攻撃されることが多かった様です。
「昔は言われなかった」のに、今は「規制しないといけないこと」が増えました。
知らなかったとは言え、当たり前にしていた行動をダメと言われる訳ですから、矢面に立たされた現場は堪らなかったと思います。その鬱憤をこちらにぶつけてくる人も多かった。
社内外から投げつけられた言葉の石つぶては、今でも思い出すことがあります。
「スピード違反は悪いよ?でも、誰もやっていない訳?スピード違反をしたら、全部捕まるのか?って話だよ!」
「会社として、取引先にどこまで守らせるのかを決めろ!」
「当たり障りのない表現しか使えないんじゃ、売れない! 何言ってるか判らない!」
「収入印紙をどれだけウチが貼らなけりゃいけないか、どれだけ負担しなくちゃならないか、ちゃんと計算した上で言っているんだろうな!ウチがどれだけアンタの会社に貢献しているのか分かって言っているのか!」
月日が経つということはありがたいことです。
流石にもう、涙が勝手に流れてきたり、夜中に叫ぶ様な夢を見ることはなくなりました。
オリンパスの事案など、コンプライアンスに携わる人が攻撃されたり孤立したり、理不尽な扱いを受ける記事を目にする度に、心が痛みます。
刹那的な「利益優先」ではない、仕事の仕方が当たり前になって欲しい。
・・・そう、願います。
※写真は、今春の突き抜ける様な青空に、誇らかに咲く桜です。