私の故郷事情。
ちょっと器量の悪い大根、柿の実、梅干し、柚子・・・。
実家に戻ると、母とご近所の方々との交流を目にします。
「ほんのちょっとだけど、よかったら貰って〜。」
「出荷できないんだけど、味は変わらないからさ〜。」
「これ、この間のお礼に。」
「ウチで取れて作った梅干しだけど。」
「あら、助かるぅ!!」
・・・そんな感じで、少量の物々交換が行われています。
実家に私が送っていた会社員時代に使い切れなかった大量の化粧品(営業サンプルとしての支給品です)も、過去、お裾分けに重宝した模様です。
物だけではなく、作業や技術もお裾分けやお返しの一つになります。
母は、パタンナーとしても働いていましたので洋裁が得意で、今でもお直しなどを依頼されることがあります。
依頼に対しては、視力が落ちて作業が苦痛なのだそうで、断ることが増えました。
それでも母を見込んでお願いしてこられる方が多いので、普段良くしていただいていることもあって、急ぎではない仕事は引き受けたりもするそうです。
「お金はいらないんだけれど恐縮されちゃうから、100円だけ貰ってる。かえって気を遣わせて、他に野菜を貰っちゃったりもするのだけど。」
地域で人間関係が、持ちつ持たれつ緩く繋がっているのは有難いことです。
最近は帰省をまめにしていても、いつも一緒には居てやれないので心配なのですが、ご近所との交流があるおかげで全くの孤独にならずに、本当に助かっています。
農家の朝は早いので、夏の頃は朝の5時〜6時くらいにお裾分けをいただいたりします。
玄関の扉を叩く音で起こされて寝ぼけ眼で応対に出たら、「ありゃ。知らない人が出てきた!」と言われたことがあります。
私は、高校卒業とほぼ同時期に実家を出てしまいました。
同級生たちとは中学まで一緒でしたが、高校は少し遠く(だから早朝の通学になってしまって)に通っていましたし、顔を合わせる機会が減りました。
久しぶりに会う幼馴染や、そのご両親、小さかった友達の兄弟姉妹の変わり様・・・。
顔と名前が一致しなくなっています。
子供の顔ではなくなってしまったので、向こうも私が分からない(笑)。
父母は地域と繋がっていますが、子供の私たちは地域の繋がりが薄くなってしまいました。
この小さな村の子供達は、農家の跡取りを除いて大半が故郷を離れて暮らしているので。
農家ではなかった数名の実家は無くなって更地になったり、空き家になってしまったり。
私が頻繁に連絡をしているのは、高校の頃の同級生や部活の先輩達です。(たった3年間の高校生活なのに、一番キラキラした思い出が詰まっています。)
今は、高校時代の友人との再会を楽しみながら、再度、幼馴染達やご近所との繋がりを私なりに緩く築き始めているところです。
あくまで、緩く・・・ですが。
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写真は、冬枯れの枝にとまる羽根に空気を取り込んでふっくらした小鳥達。
これ、多分、スズメじゃないと思う。