「人件費」とAI。
暫く、ブログをサボっていました。
ゴールデンウイークの後半にパソコンを持たない帰省をしていたと言うのもあります。
すみません。言い訳ですね。
本日のお題はこちら。
半年ほど前のことだと思うのですが、新井紀子氏がNHKの番組で孫正義氏とお話されているのを拝見しました。(調べ直したら、MONEY WORLD 資本主義の未来(2)仕事がなくなる 2018/10/7(日)PM9:00~ でした。)
新井氏は、「仕事をAIに奪われた人たちに代わりの仕事やお給料を手にする手段を提示できるのか?企業はそこまでを考えているのか?」と迫りました。
しっかり法人税を国や自治体に落とす気はあるのか? ロボット税を払うことを考えているのか?人件費を削った先に、人々の幸福のために「未来へ投資をする」と言うビジョンがあるのか?と問うたのです。
孫氏の発言を聞くに、おそらくその様なビジョンはお持ちでは無かったようです。
関心があるのは、自分の会社が大きくなること、利益を出すことだけなのでしょう。
法人税もロボット税の支払いについても、前向きな発言はありませんでした。
「人間には、AIができないクリエイティブなことをやって貰えばいい」と言う論理になっていましたが、全ての人に「クリエィティブ」な才能はありません。
「閃きがある人」は、ごく一握りの人でしかない。
閃きを言語化できたり、マネージメントを本当の意味でできる人も、ほんの少ししかいない。
企業にとって欲しい社員は一握りの優秀な人たちだけ。
高い給料を払わなければならない社員はなるべく少ない方がいい。
AIは文句を言わずに作業をするし、体もメンタルも壊さない。
余計な人件費は払いたくない。
アドリブが必要な、現場で矢面に立つ作業は、取り替えや切り捨てが出来る派遣やパートやアルバイトで、回せばいいじゃん?
人件費、節約できるもん。
・・・そのような会社が世の中に満ちたら、彼らの「お客様」はいるのでしょうか?
収入がなければ、余裕がなければ、どんなに製品や商品が溢れていても、購入ができません。
お客様の数は先細りです。
今、企業の多くは、自社製品を愛する社員=お客様・・・の可能性を想定していません。
・・・企業は「顧客を創出すること」に無関心なのです。
国際NGOのオックスファムが1月21日に発表した記事によると、世界でもっとも裕福な26人が、世界人口の内の所得の低い半数にあたる38億人の純資産と同額の富を握っているのだそうです。
世界的企業の多くが人件費を削減することに躍起になっていますが、彼らは最終的に自社商品を、この「超富豪である26人」にだけ販売するつもりなのでしょうか?
たった26人が買う商品や製品の数は知れています。
企業は自分たちで顧客を作り出さなければ、いつかは破綻してしまうではないですか!
「一人勝ち」とか、「勝ち組」「負け組」の時代の終焉は見えている。
全ての商売や生業は、最低限の健全で穏やかな生活を得るための土台にならなければ。
大きな企業に限らず、小さな個人商店も丁寧に「顧客創出」をしなければなりません。
それには、従業員をまず第一番のファンに、お客様に育て上げなければ。
自分の仕事に誇りが持てるように魅力を伝えて、手間暇をかけて教育をしなければ。
教育には時間とお金がかかります。
そこを端折ってしまっては、未来がない。
今、世の中に・・・大きなしっぺ返しがやってきそうな気配です。
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写真は、廃線になった電車の線路の跡が整備された遊歩道です。
春の野の花が咲き乱れて、風が気持ちの良い午後でした。