タクシーを拒む理由。
父が免許証を返納して、8年くらいでしょうか。
実家は田舎なので、バスも一日数本しか走っていません。
ですから、移動手段はもっぱら自転車か徒歩。
晴天が続かない雪国のこの季節。
荒れている日の移動は大変です。
病院や医院、図書館、スーパー、商店街。
一番近くても、2kmくらいはあります。
移動手段の無い高齢者は主に自転車で、一直線に用事を足しに移動します。
田舎の道は田んぼや畑を通る農道の一本道。
もしくはトラックが行き交う国道沿い。
途中に店舗はあるけれど、コンビニとかラーメン屋さんとか、ファミレスがポツリポツリ。
冬の広い道路は、吹きっさらしです。
天候が悪くて、どうしても出掛けなくてはならない時は、タクシーを使って欲しいと子供達は思うのですが、両親は頑として聞き入れてくれません。
タクシーでの移動を拒む理由は、「世間の目」です。
贅沢をしていると見られたくない・・・が、根底にあります。
**地方のタクシー会社も改変の嵐に晒されていて、台数が激減しています。
利用したい時に利用で来るかといえば、断られることも。
老人だけの家で、車という交通手段が無いのは周知の事実なのだから、気兼ねをする必要は全く無いのですが。
個人で1台車を所有している家が少なく無い田舎です。
たまに使うタクシーよりも、そっちの方が贅沢なはずなのですが。
それは、勘定に入らない。
通勤で車を使用しない関東の人なら、2kmくらい歩くのを苦とも思わないでしょう?
ウインドウショッピングしながらの移動は楽しいですし。
田舎の人は、結構・・・歩きません。
車で移動が当たり前ですから。
ウインドウショッピングするなら、その為にわざわざ出掛けなくちゃならない。
散歩を楽しむ要素が少ないんですよね。
散歩を積極的にしている人は、犬を飼っている人くらいです。
目的は犬の為の、義務としての散歩・・・。
サラリーマン川柳でもありましたが、「スポーツジムに行くのに車で出掛けてジムで自転車を漕ぐ」という様な状況が珍しく無い。
実際、母も父の運転でプールに出掛けて毎日1時間くらい泳いでいましたが、父が免許を返納したら通わなくなってしまいました。
水泳のおかげで筋力がしっかりあったので、お腹はペタンコだし肩こりもしない。
どこも調子の悪いところがなかったのです。
ところが、プールに行かなくなってからは、膝が痛いとかお腹が出て来たとか。
自転車で行ける距離なんだから、また通えばいいじゃない?
水泳をまた始めたら、お腹も凹むし膝だって痛くなくなるよ?と言ったのですが。
・・・行くのが面倒だ、お腹が出て来てしまったから、水着になりたくない。
鶏が先か卵が先か・・・みたいな話になってしまいました。
親と離れて暮らす子供達としては、価値観の違いや地域バイアスに「?」なことが多いのですが、故郷を離れてみると「目立たない様に」することが安心や安全を確保することにもなっているのだろうなあ、それが生活に染み付いているのだろうなあ・・・と思うことしきりです。
もっと、楽に考えてもいいのになあ・・・。
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写真は、侘助かな?お茶の花かな?
小さな白い、ツバキ科のお花です。
下を向いて咲くのでちょっと撮影しにくいのですが。