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「唯一無二」への欲望。


 

 この世に生まれた時点で、あなたは唯一無二の存在に違いないのではありますが・・・。

誰もが自分が「唯一無二」の存在になりたいと願うことが、一度はあるのではないでしょうか?

恋人にとって。

自分の能力について。

組織の中の存在として。


 組織にあっては、特別なアイディアが出せる人や危機に際してもっとも冷静に最適解の判断を下すことができる人。

目をつけるところが独特で、新しいイノベーション(新機軸、新活用法など)を探すことができる人。

・・・特別な人は魅力的です。


 ただ、この「唯一無二」な人になりたいと願うあまりに、困った人になってしまう方もいて。

仕事を囲い込んで、他の人にノウハウを開示しない・・・そういうことが多々あります。

自分に能力がある!と勘違いをしてしまう事もある。

「あなたがいないと仕事が回らない」という存在になりたい。

そうなれば、自分の立場は安泰ですし、高い評価を受け続けられるでしょうから。


会社員時代のある上司がこのタイプでした。

一部ではありますが、自分が作ってきたシステムだという思い入れがあったのです。

彼にとっては、その役割を手放すことはあり得なかった。

賞賛され続けるというのは、気分が本当に良かったでしょうから。

その場面に同席したことが何度もありますが、彼の満足した表情は忘れることが出来ません。


本来は、ノウハウやポイントを部下や取引先に伝授していくべき内容で、側から見ると本人が思っている程「特別なものでもなんでもなかった」のですけれど。


それは、サロン経営者の協力者を呼んで今後のサポートをお願いする、プレオープンセレモニーの仕切りというのか、講演者(ちょっとしたスター)の立場。

スポットライトが当たる存在です。

(考えれば分かりますが、スポットライトを浴びるべきはサロンをオープンする個人経営者と協力者で、彼ではありません)


私は彼の遠征を拒否し、担当の取引先に司会やサポートを、協力者へのお願いをサロン経営者本人に担ってもらうようにお願いし、準備やスケジュール管理など不慣れな部分を手伝いました。

上司には物凄く受けが悪かったし、「君は何にも本質が分かっていない!」と非難されましたが。



 日程が被れば、出席しなければならない会議を蹴ってしまうくらいの執着振り。

彼の立場としては、優先順位が明らかに異なっています。


ですが、スターであることが彼にとっては何よりも大切なことでした。


自分にしか出来ないという自負もあった様でした。

面白いことに、彼のキャラクターが一部熱狂的なファンを作り出してもいたのです。

部下にも、心酔していた人間が何人もいました。

故に、本人も自分を見誤ってしまったのかもしれません。



 そのようなことが続いた結果、彼は肩書きこそ立派ではありましたが、部下がほぼいない部署へ転属になってしまいました。


彼にとっては腹立たしいこと、この上なく。

自分はリスペクトされてしかるべきなのに、この仕打ちか!と恨んでいたと思われます。

彼の心情は想像しかできませんし、その後を詳しく語ることはできませんが、思い切り後ろ足で砂を蹴った・・・と言えば感じていただけるでしょうか?


 組織に於いては、一人が抜けただけで回らない状態になってはなりません。

仕事が人に付かないように、企業のvisionに沿った方向に沿うように、マニュアル化できるところは整えていく必要があります。

事業継続には必須です。


一方で替えの効かない光る人材はどこでも欲しい。

そういうスペシャルな人は、新しい価値やアプローチを見出せる人です。

スペシャルな人が楽しくアイディアを生み出し、そうではない人も自分の存在価値を実感できる環境を作ること。

それが今の会社組織などに求められているものではないでしょうか?


 そして、自分の裁量や腕一本で勝負する個人経営者は、光る人材の筆頭であると言えるでしょう。

・・・彼等の魅力に気づいてアピールすること・・・それが私のような者の仕事でしょうか。


*****

原種に近い薔薇は、しっかり香ります。

品種改良された薔薇には、あまり香りは期待できないとか。

写真の薔薇はピエール・ド・ロンサールで、香りはあまりしないそう。


・・・原種の数種の薔薇は、そういう意味で「唯一無二」のものかもしれません。









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