マチスの「ブルーヌード」。
本当に、みんな違うんだなあ・・・と、最初に感じたのは、デザインの勉強をしていた頃の「模写」の時間。
題材はマチスのブルーヌードでした。
デッサンは、上手いとか下手とかの差があっても(技術の習得の問題だったりもするので)びっくりしないのですけれど、色でこれほど違うとは思っていませんでした。
白地に単純な題材(すごくシンプルで、マットな平坦な彩色ですから)なのですが、これが・・・びっくりするくらい「青」が違うんですよ。一つとして同じ色が無い。
虹彩の色が皆んな違うから、感じる色が違うという理屈は分かっていたはずなのに。
私の中では「緑や青い目の人と、黒い目の人が感じる違い」程度の理解だったのです。
「茶〜黒い目」の人の集団で、これほど感じ方が異なるとは、思っていませんでした。
視覚的に、感覚の違いを目の当たりにすることは、滅多にありません。
誰一人、「同じものを見ても、同じ様には感じないんだ」ということが、シンプルに分かる場面でした。
ファッションの世界で、欧米の方がイメージする「シノワズリ(中国趣味の美術様式)」のカラーは、中国本土と勿論、違っています。
これも「虹彩の色」が関係しているのでは?と言われています。
緯度の違いと光線量、気候などの影響で、色の好みは無彩色が混じっている色合いが多いという話も聞きます。
例えば同じ「赤」でも、中国の方がお好きな煌びやかな赤ではないような・・・。
「感じ方」は、その人が生まれながらに持っている「個性」です。
どう音が聞こえているとか、味を感じているとか、感触がどうか、匂いをどうを感じているのか?は、本人と魂(かな?)が入れ替わってみなければ、正確には分からない。
その人の「五感」が、どう捉えているかは、説明されても正確にはつかめない。
そして、受け止め方にも個性がある。
視覚だって、本当はどう見えているかは他人には分からないのですが、少なくともこの場合に限っては「その人がブルーヌードの青をどう感じたか?」が見えた気がしました。
「ブルーヌード」の色彩を楽しめたように、互いの「個性」を楽しめると素敵ですよね。
沢山の個性を知ると、世界が広がって行くような気がします。
春の美術館に足を運びたいなぁ〜とぼんやり思いました。
※ ※いつの間にか新緑を感じる季節になりました。欅の若葉です。