「赤いスイートピー」と「青い薔薇」。
花の少ない季節がやっと終わりを告げますね!
今回は、「乙女的なロマン」と「科学的ロマン」が溢れるお花の話題を少し。
松田聖子が歌った大ヒット曲。
「赤いスイートピー」
この曲が発表された時、「真っ赤なスイートピー」は無かったそうですが、赤い色素を持ったスイートピーは、存在していたそうです。
あるはずのない花が曲をきっかけに誕生した・・・という説は、ちょっと違ったみたいです。
(実は、まっ黄色のスイートピーこそが、存在しないそう。)
ロマンチックな話ではありますけれどね。
もっと、しっかり赤い花になるように、業界は素早く品種改良に取り掛かったのでしょう。
実際、花屋さんに問い合わせが多かったんだろうな・・・と想像します。
・・・あまりに真っ赤なスイートピーだと、少し違和感を感じます。
この感覚、私だけかなぁ?
マメ科の花は、優しい色・・・が、しっくりすると思うので。
私の中では何故か、松田聖子の「制服」という曲とスイートピーの花がリンクします。
小さなスイートピーの花束を、「クラスメイト」の彼に渡す画面が浮かぶのです。
卒業式。
大好きだった、友人で片思いだった彼。
4月から離れ離れになっちゃうけど、告白はしない。
クラスメイトのままでいい・・・。
そういう曲です。
なんだか、キュンとしませんか?
そして・・・。
「青い薔薇」
サントリーが青い薔薇に果敢に挑んでいまして、いくつか「青い薔薇」を発表しています。
こちらは、元々青い色素を持っていない薔薇に、遺伝子組み換えを施しました。
「青い薔薇」と言っていいのか?と思えるような・・・赤味の少ない紫色の薔薇。
「ヒマラヤの青いケシ」を連想させるシアン系の色ではありません。
「青い薔薇」は、SF漫画やSF小説に使われることが多い題材です。
サントリー以前に、遺伝子組み換えではなく交配の技術を駆使されて、青い薔薇に取り組んで来られた方もいらっしゃいました。
「科学的ロマン」として、相当に魅力的です。
ですから、この世になかったはずの青い薔薇の花言葉は「不可能」でした。
そして・・・この遺伝子組み換えでの誕生で、花言葉は「夢叶う」に変わっています。
最相葉月氏はノンフィクションを主に手がけている作家さんですが、彼女の著書「青いバラ」で、著名な薔薇の育種家である鈴木省三氏のお話が書かれています。
育種家にとっても、科学者にとっても、「青い薔薇」はロマンであるに違いないのですが、彼に「もし、青い薔薇ができたとして・・・あなたはそれを美しいと思いますか?」と問われています。
(※※ ちなみに、最相葉月氏の青いバラの執筆中に、鈴木省三氏は鬼籍に入られました。)
私の、青い薔薇のファーストインプレッションは、「?」でした。
違和感を感じるのは、決して私が「遺伝子組み換えによって誕生したと知っている」からではないと思います。
感覚的なものなので、うまく伝わらないかもしれませんが、花の形状と色がミスマッチな感じがするとでも言いますか・・・。
収まりが悪いというか、「作り物感」がする。
カラスが、落ちた孔雀の羽などを自分の体にくっつける、ちょっと涙の出そうな童話も思い出してしまいました。
決して、遺伝子組み換えや青い薔薇を否定しているわけではありません。
ただ、なんだかお尻がもぞもぞするような感じ。
科学者が、目指す理想の「青い薔薇」を完成させた時。
この違和感は解消するのでしょうか?
彼らが目指す「青い薔薇」は、私のイメージの”違和感の無い「青い薔薇」”と合致するのでしょうか?
そんな「青い薔薇」には、出会えるでしょうか?
・・・興味は尽きません。
ちょっと補足。
青い薔薇は、流通等においてカルタヘナ法に基づく一種使用承認がなされています。
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写真は、花屋さんの店先の「赤いスイートピー」です。
”派手目”ですね。